マンション共用部分の防水工事の費用負担とは?管理組合の管理義務について解説
マンションは、多くの居住者が共有して生活する空間であるため、建物の安全性や快適性を維持していくためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特に、雨水や外部環境の影響を直接受ける屋上やバルコニーなどの防水層は、経年劣化や外的要因によって損傷しやすく、雨漏りなどの重大なトラブルを引き起こす原因となり得ます。
このような防水工事が必要となった際、その費用負担が管理組合と居住者の間で問題となることは少なくありません。
共用部分だけでなく、各居住者が日常的に使用するバルコニーなどの防水工事費用は誰が負担するのか、また、居住者自身の行為が原因となった場合の負担区分はどうなるのか、といった疑問を具体的に解説していきます。
マンション共用部分の防水工事費用負担
基本的には管理組合が負担する
マンションにおける共用部分とは、区分所有法で定められているように、建物の敷地、構造部分、共用する設備などを指し、屋上、外壁、廊下、階段などがこれに該当します。
これらの共用部分に防水工事が必要となった場合、その維持管理責任は区分所有者全員から委託された管理組合にあるため、工事費用は原則として管理組合が負担することになります。
この費用は、通常、マンションの修繕積立金や管理費から支出されるのが一般的であり、建物全体の資産価値を維持し、居住者全体の安全を守るための重要な支出として位置づけられています。
管理規約で特別な定めがある場合もある
マンションの共用部分に関する防水工事費用は、原則として管理組合が負担するというのが一般的なルールですが、全てのケースに当てはまるわけではありません。
マンションによっては、管理規約において、特定の共用部分(例えば、特定の住戸のみが利用できるような共用テラスや、最上階住戸に隣接する屋上の一部など)の修繕費用について、特別な負担割合が定められている場合があります。
そのため、ご自身のマンションで防水工事が発生した場合、その費用負担がどのように規定されているかを確認するためには、必ず管理規約を参照することが重要となります。

バルコニーなど専有使用部分の防水工事費用負担はどう決まる?
基本は居住者の管理責任範囲
バルコニーは、建物全体としては共用部分に分類されますが、通常は各居住者が専用で使用・管理する権限(専用使用権)が認められています。
このため、バルコニーの床面や手すりなどの清掃、日常的な維持管理、および軽微な補修といった責任は、原則としてそのバルコニーを専用使用する居住者に課せられます。
防水層の劣化や軽微な損傷についても、居住者の管理責任範囲とみなされ、その修繕費用を個人で負担しなければならないケースが多く存在します。
構造上共用部分とみなされる場合がある
バルコニーは居住者による専用使用が認められている一方で、建物全体の構造を支えるための重要な部材、すなわち構造耐力上主要な部分である床スラブ(コンクリート版)の一部を構成しています。
そのため、バルコニーの防水層の劣化が、構造体であるスラブ自体のひび割れや、建物全体の耐久性に関わるような大規模な修繕を必要とする場合、これは単なる専有部分の修繕ではなく、建物全体の維持管理という観点から共用部分の修繕とみなされることがあります。
この区分は専門的な判断を要する場合が多く、専門家による詳細な調査が必要となります。
排水溝など共有設備に関わる部分は管理組合負担となることがある
バルコニーに設置されている排水溝(ドレン)は、専有使用部分の範疇にありながらも、建物全体の雨水排水システムの一部として機能する共用設備とみなされる場合があります。
もし、この排水溝の詰まりや破損が原因で雨漏りが発生し、建物に損害を与えた場合、その修繕費用は、個々の居住者の管理責任の範囲を超えた、管理組合が負担すべき共有部分の維持管理の一環として扱われることがあります。
排水設備は建物全体の防水性能を維持するために不可欠な設備であるため、その機能維持は管理組合の責任となることが多いのです。
専用使用権の範囲と負担区分は管理規約で確認する
バルコニーのような専有使用部分に発生した防水工事の費用負担に関するルールは、マンションによって細かく定められています。
各マンションの管
理規約には、バルコニーの範囲、居住者の日常的な管理責任、そして万が一、防水工事が必要となった場合の費用負担の区分について、具体的に規定されています。
したがって、ご自身のマンションでバルコニーの防水工事が必要となった際に、その費用が誰の負担となるのかを正確に把握するためには、必ず管理規約を確認することが最も重要であり、不明な点があれば管理会社や理事会に確認することが推奨されます。

居住者の過失による防水工事費用の負担区分は?
居住者の故意過失による損害は個人負担となる
マンションにおいて、防水工事が必要となる原因が、特定の居住者の故意または過失によるものであると明確に認定された場合、その損害の修繕にかかる費用は、原則として当該居住者が個人として負担することになります。
これは、他者に損害を与えた場合にその責任を負うという民法上の原則や、共同生活における秩序維持のための規約違反などに基づきます。
そのため、居住者自身の行為が原因で防水層が損傷し、雨漏りなどの問題が発生した際には、その修理費用を個人で負担する義務が生じる可能性があることを理解しておく必要があります。
私物の放置や不適切な使用が原因の場合は個人負担の可能性が高い
居住者の過失による損害とは、具体的にどのようなケースが考えられるかを理解しておくことは重要です。
例えば、バルコニーに長期間にわたり重い物品を放置し、防水層に過度の負荷をかけて損傷させた場合、あるいは、バルコニーで頻繁に大量の水を使用するような不適切な清掃方法や、植木鉢の受け皿から常に水が溢れる状態を放置していた場合などが挙げられます。
これらの行為によって防水層の劣化や破損が引き起こされ、結果として雨漏りなどの問題が生じた場合、その修繕費用は、居住者の管理不備や不適切な使用に起因するものとして、個人負担となる可能性が極めて高いと判断されます。
判断基準は原因調査と管理規約に基づく
居住者の過失が原因であると判断され、個人負担となるかどうかの線引きは、慎重なプロセスを経て決定されます。
まず、防水工事が必要となった根本的な原因を特定するために、専門家による詳細かつ客観的な原因調査が不可欠です。
この調査によって、防水層の自然な経年劣化なのか、それとも居住者の特定の行為に起因する損傷なのかが科学的に明らかになります。
その調査結果を踏まえ、マンションの管理規約に定められている負担区分に関する条項や、過去の類似事例、さらには区分所有法などの関連法規を参照しながら、最終的な負担者が決定されることになります。

マンション管理組合の防水工事における管理義務とは?
建物の維持管理と居住者の安全確保が義務
マンション管理組合の最も根幹的な責務は、建物全体の構造的な健全性を維持し、居住者全員が安全かつ快適な生活を送れる環境を確保することにあります。
防水機能の維持は、建物の骨格を雨水や湿気による劣化から守り、居住空間の快適性を保つ上で極めて重要です。
したがって、管理組合には、防水層の劣化や損傷を未然に防ぎ、問題が発生した際には適切に対処することで、建物全体の資産価値を保全し、居住者の安全を確保する義務が継続的に課せられています。
定期的な点検と計画的な修繕の実施義務
管理組合は、建物が長期にわたり健全な状態を維持できるように、定期的な建物状況の点検を実施する義務を負っています。
特に、屋上、バルコニー、外壁といった、雨水や風雨に直接さらされる部分の防水層については、専門家による定期的な目視点検や非破壊検査などを通じて、劣化の兆候を早期に発見することが求められます。
そして、発見された劣化や不具合に対しては、住民の生活に支障をきたす前に、計画的かつ迅速に修繕工事を実施し、建物の健全性を維持していく責任があります。
区分所有法に基づく義務の履行
マンション管理組合の運営や、建物管理に関する義務は、区分所有等に関する法律(区分所有法)によって法的に定められています。
この法律には、共用部分の管理に関する区分所有者の権利と義務、管理組合の組織や運営方法、そして管理組合が負うべき管理責任などが詳細に規定されています。
したがって、防水工事の実施、その費用負担の決定、および管理組合としての諸活動は、この区分所有法および関連法規、さらには各マンションの管理規約に則って、適正かつ公正に行われなければなりません。
まとめ
マンションの防水工事における費用負担は、共用部分か専有使用部分か、そして不具合の原因がどこにあるかによって、その責任範囲が大きく異なります。
原則として、屋上や共用廊下などの共用部分は管理組合が修繕積立金などから負担しますが、バルコニーのような専有使用部分については、居住者の管理責任範囲とみなされ、個人負担となるケースが一般的です。
ただし、建物の構造に関わる部分や共有設備である排水溝などは管理組合負担となることもあり、居住者の故意・過失が原因と判断されれば、個人負担の可能性が高まります。
最終的な負担区分は、原因調査の結果と管理規約の規定に基づいて決定されるため、必ずご自身のマンションの管理規約を確認し、不明な点は管理会社等に確認することが重要です。
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